指先を絡めて、抱き締め合って眠る夜

微かに聞こえる静かな寝息とあいつの鼓動

昨夜の名残を躯に残し、俺の腕の中で安らかに寝息を立てる


綺麗なあいつを汚してしまったのは俺

この俺・・・・・



Believe in you



眩しさに意識を呼び起こすと、昨夜開け放した窓から朝日が差し込んでいる。

背伸びをしようと腕に力を入れてアイツの重みに気付く。

擦り寄るかのように俺の腕へ頭を預けて眠るアイツは、息を飲むほどに美しくて…

いつも勝ち気な瞳は、安らかな眠りの為に閉じられ、朝日に照らされた柔らかな髪は、日の光を受けて色素を薄ませている。

至る所につけた跡は昨夜の激しさを物語るに十分で・・・・薄く開いた唇は、まだ濡れたままに俺を誘う。

自分のつけた跡を指先でなぞり、唇を合わせて肩を抱き締めると、まるで小さな子供のように胸元へ蹲っていくアイツが愛しくて。


俺が汚した綺麗な天使

共に墜ちよう奈落の底までも

手を差し伸べて握り締め、二人で歩いていこう


でも、そんなことは俺のエゴ。

判っているんだ。

でも、放す事など出来やしない。


それなら俺は・・・どうしたらいい?


髪を撫でると軽く身体を捩って瞳を開く。


「おはよう・・・・早いな」


擦れた声で微笑むアイツに深いキスを贈って抱き締める。

唇が小さな水音をたてて離れると、アイツが可笑しそうにクスクス笑う。


「何だよ」

「いや…おはようは?」

「あ、おはよう」


微笑み合って口付けを交わし瞳を合わせる。

まるで、聖母のようだ。

俺が汚したにも拘らず、こいつはいつまでも綺麗なままだったんだな。



そうか・・・・なぁんだ



綺麗な天使に抱かれて、俺が新しい色に塗り替えれば善い。

アイツの身体につけた跡を見て、口端を上げ微笑む。

全てをアイツの為に塗り替えてやる。


俺の腕の中の天使がこんなにも愛しいから。


−Music By−
『Believe in you』
Keigo Atobe


2004' 11/9